TEACCH親のためのセミナー第5日

4日目の午後は「社会に出て自立する・仕事の訓練」の講義。社会で生活するためには小さいときにどういうスキルを教えておく必要があるのか。大きくなって どのように生活の枠を広げていくのか。5日目の午前は「社会に出て自立する」の実習。筆者のチームはブラッド6歳を連れてマクドナルドへ行った。

社会に出て自立する・仕事の訓練をする

子供が小さいときには 家庭や教室など限られた環境で子供にスキルを教えることに重点を置く。スケジュール、ワークシステム、視覚的構造化はそのために必要な道具である。構造化は個人の持っている能力を最大限に引き出す。小さいときは社会にあまり多く出る必要はない。大きくなって混乱した社会の中で子供が自立して生活できるようにするためである。20歳になった時に 多くの活動が社会で出来るようにするのが目的だ。15-16歳ではスキルと社会の割合は50:50くらい。将来どんな職業につけるか考える時期だ。


様々なスキルを教える

身の周り

身の周りのスキルはとても重要だ。正しく手を洗えるようになるまで1対1で教える。歯を磨くことを教える。顔を拭くことを教える。それらのスキルと組み合わせ、自立してできるように工夫する。4つ目の写真はカラーでマッチングさせて自分で出来るようにしている家庭での例。


泳いだ後のシャワー。テーブルマナー。食べ方のスキル。自閉症の子供は普通と違った食べ方をすることが多いので 職場で困ることがある。トイレのスキル。着替えのスキル。髭剃り。


選別

教室で様々な選別の課題を行う。数字、文字、色、カテゴリーごとに仕分けする能力は いろいろな所で役に立つ。学校のメイルルームで手紙の選別。地域では様々な選別の仕事がある。図書館で本の仕分けの仕事をする。基本的には選別とマッチングの仕事である。


事務

何枚かの紙を順番にそろえる課題を考える。紙をホッチキスで止める課題をやる。封筒に物を入れる課題を行う。小さいときは 個別にスキルを教える。小学校高学年や中学生になったら これらのスキルをまとめて行う。学校で何枚かの印刷物をまとめ ホッチキスで止め 封筒に入れるような仕事が出来るようになる。5つ目の写真は事務所で働いているところ。


家事

学校のテーブルを拭く課題を1対1で行う。学校のカフェテリアのテーブルを拭く。大きくなればレストランのテーブルの掃除をする。


クラッカーにバターを塗る。家庭で料理を作る。レストランで働く。
5つ目の写真。多くの子供たちは分解、組み立ての高いスキルを持っている。チャペルヒルにあるTEACCHの建物には3つの大きな食堂があり、大きな食洗器がある。これらの機械を分解修理できるのは自閉症の女性である。彼女はこの仕事がだいすきである。


地域で学ぶ

学校で1対1でコミュニケーションのシステムを使っておやつを選ぶことを勉強する。次により広げて学校のカフェテリアで指をさして食べ物を選ぶ。先生は一緒に指示して確認。子供が小さい時でも ある程度地域社会に出て これらのスキルを使ってみる。先生が良くいっているレストランに何人かの子供と行き 写真のメニューを見て選ぶ。レストランで友達と食事を楽しむ。



地域のいろいろなレクリエーション施設を利用する。安全のルールを守る。どうやって靴の料金を払うか。どうやって靴を変更するか。どうやって返すかということを学ぶ。


さまざまなスキル

お金をどうやって使うか。まず教室でお金を使うスキルを勉強する。学校の食堂でお金を使う。学校のストアを使う。




今度は地域で使う。公共のバスに乗る。スーパーマーケットで絵のリストで買い物をする。様々な地域のサービスの利用を学ぶ。教室でお金を使うスキルを勉強する。学校の食堂でお金を使う練習をする。学校のストアでお金を使う。大きくなれば 自分でお金を払って地域で物が買えるようになる。


就業

自立していること、他者といっしょに働けることは就業に必要なことだ。まず教室で一人で机に座る。今度は他の子供を近づける。現実の社会では他人と近づいて仕事をしなければならない。


決められた場所にいることを教える。スケジュールにより指示されるまではそこにいなければならない。

助けを求められるようにスキルを教える、こんどは他人の助けを受け入れることが出来なくてはならない。

ルールに従うことを教える。大きい声で話すな。食堂ではヘッドセットははずせ。早く走るな。

誰かに監督されることを受け入れなければならない。だれが監督者なのか見極める。指示はその人からしか受け入れない。仕事のチェックを頼みむ。意図的にチェックを頼む。監督者を受け入れ、今日一日の指示をもらう。こういったことを教室で学ぶ。

社会に出て自立する。実習

ブラッド6歳(ある程度の言葉はある。非常に気が散りやすい。)を連れてマクドナルドへ行く。ブラッドは気が散りやすく 待つことが出来ない。マクドナルドで待てるようにするのが目標。待っている間 ブラッドの好きな課題、食べ物、洋服のかーどのマッチングとレゴの組み立ての課題をやらせた。ブラッドは待つことが出来、マクドナルドを楽しんだ。

(これで5日間の講義は終わりです)