TEACCH親の為のセミナー第4日

3日目の午後は「余暇を過ごす/社会性を育てる」の講義、4日目の午前は「余暇を過ごす」の実習。筆者のチームはクレイ(4歳、重度、社会性は低い)の担当。SORRYという市販のゲームを使ってクレイが一人で遊べるようにする。クレイは社会性が低く、細かな動作が出来ないので苦労した。

余暇を過ごす/社会性を育てる

ボール遊びやゴルフをするには 他人とお互いにやり取りをし、お互いに自分の立場を変える必要がある。自閉症児はこういった社会性を持つことが非常に難しい。ある発達段階まで来なければ トイレに一人でいけないのと同じように 自閉症児の社会性のレベルに合わせて 余暇の目標を設定する。

実習の時に 筆者のチームがジャックウォール所長に相談をしている所

社会性のレベルには6つの段階がある。まず どの社会性のレベルにあるのかをよく観察する。

(1)他人と一定の距離を保つ(Proximity) : 子供はほかの子と同じ場所で遊ぶが ほかの子を無視。お互いのやり取りがない。

(2)並行して遊ぶ(Parallel play)  : 子供はほかの子供たちと同じ遊びをするが お互いのやり取りがない。

(3)お互いの分け合う(Sharing) : 子供はおもちゃなどをほかの子供と分け合うが ほかの子供といっしょには遊ばない。

(4)役割を変える(Turn Taking) : 子供は分け合うことができ、ほかの子供たちの役割を自分も行わなければならないことを理解する。

(5)ルールに従う(Rule) : 子供は他の子供と遊び、ゲームのルールに従う。

(6)社会性のあるやり取りを行う(Social Reciprocity)

子供がどのレベルの社会性であるか観察し、その結果をもとに余暇の活動を考える。子供が一人で遊べるようになるのが目標だ。

ステップ1 : 先生あるいは親の一緒に(1対1で)慣れた場所で教える

ステップ2 : 慣れた場所で一人で出来るように工夫する(構造化)

ステップ3 : 場面を変えても 一人で出来るようにする

余暇を過ごす/実習

筆者のチームはクレイ(4歳)の担当。クレイは重度、言葉はない、最大限の構造化が必要、社会性は低い。今回の課題はSorryという市販のゲームを使って、クレイが自立して遊べるように工夫するのが目標。

Sorryはボードと4色(赤、緑、青、黄)の駒がそれぞれ4つ、数字カードで遊ぶ。4人で遊び、各プレイヤーは自分の色の4つの駒を自分の陣地に置く。順番にカードを引き、出た数字だけ駒を進める。ゴールに4つのこまを早く入れた人が勝ちになる。ただしひとつのマス目には一つの駒しか置けない。

遊びの場所にいるクレイを観察したところ、他の子供たちとのやり取りがなく、比較的同じところで遊んでいた。またいつも同じおもちゃを手にしていた。クレイは 一番低いレベル「他人と一定の距離を保つ」と判定した。クレイの社会性は非常に低い。

市販のSORRY!(ボードゲーム)を使ってクレイがひとりで遊べるように工夫するのが、実習の目的である。

トライ1:(いつもの課題をやる場所で1対1で行う) クレイは色の仕分けができることは分かっていた。また観察の欠課クレイは他の子供との関係はほとんど見られない。またクレイは細かな動作が出来ないのでこまを取って入れるという単純な動作にした。ゲームは左図のようなものを作った。真ん中に4色の駒を入れ、青、黄、赤、青の画用紙の上にトレーを置き、それぞれの色の駒を選別していれるようにした。

トライ1の結果:やらせてみたが、クレイには難しかったようだ。

トライ2:(あそびの場所で親に教えてもらって 遊べるようにする)トライ1では4種類の駒を選別して入れるのが難しかったので、駒の色を2種類にした。駒を缶に入れるようにし、缶にはわかりやすく色の画用紙を巻いた。何をするのかわかりやすくした。気が散らないように周りに衝立を立てた。

トライ2の結果:同じ色を同じ色の缶に入れるのは 難しかった。何をするのかもっと目で見てわかりやすくしてやる必要がある。

トライ3:二つの色の間に仕切りを入れ、よりわかりやすくした。

トライ3の結果: ひとりで遊ぶことが出来た。クレイの場合、動作を単純にして、なにをやるか目で見てすぐにわかるようにしてやる必要がある。

(この実習では子供の能力に合わせて 何度もトライアンドエラーをすることを学んだ。どうしても何とかやらせようと考えてしまうが、臨機応変に子供に合わせていくことが大切なのだと思います。)

(この項終わり。5日目は社会に出て自立する、仕事の訓練をするの講義と実習。)