TEACCH親のためのセミナー・第1日(1/3)
セミナーは本当によく準備されていて、素晴らしいものでした。日本でもTEACCHのセミナーが行われていますが、参加しようと思っても子供を抱えていて参加ができない親も多いと思います。ぜひ覗いてください。とても勉強になると思います。(筆者は 今回 セミナーの資料を読み直しましたが、かなり昔に行われたにも関わらず、内容はまったく古くないことに驚きました。)
米国ノースカロライナ州で行われた親のためのトレーニングセミナーです。主催はシャロットTEACCHセンター。シャロットはノースカロライナ州の最大の都市。ノースカロライナ州に7つある(当時)TEACCHセンターの一つです。シャロット郊外のオークデール小学校で1999年6月21日から6月25までの5日間行われました。
参加者は18名。(定員は20名)すべて自閉症の子供を持つ親。(参加者の子供の年齢は3歳から8歳くらい)ノースカロライナの住人は10名、ノースカロライナ以外の米国から5名、海外3名。男性は3名でした。
5日間のプログラムを下の表に示します。まず講義を行い、そして実習、その繰り返しです。話を聞くだけでなく、実習を通して講義の内容が身につくようになっています。参加者は4名を一つのチームとして、5日間 同じメンバーで実習を行います。4人のメンバーはそれぞれ先生、記録係、報告者、親の役を割り当てられ、役割は毎日変わります。
セミナーには5人の自閉症児が参加していて、各チームは毎日違う子供たちが割り当てられます。5日間でいろいろな特性(高機能から最重度)の子供たちと接することが出来ます。
セミナー会場には5人の子供たちの部屋があり、実習はそれぞれの部屋で行います。(5人の部屋がどのように準備されていたかは このホームページの情報のページにある「XXXの部屋・TEACCH親のためのセミナー」を見てください。ブラッド、フィリップス、クレイに関しては担当のセラピストに説明してもらったビデオがあります。子供の特性によりどういう構造化のアイデアがあるのかを学ぶうえで大変役に立ちます。)
ジャックウォール博士(主催者)が伝えたかった3つのこと
ジャックウォール博士(シャロットTEACCHセンター所長)に 「セミナーで一番伝えたかったことは何か?」を伺ったところ、下の3つ挙げてくれました。
(1)自閉症を正しく理解する。
(2)自閉症の子供の目を通してみる。(自閉症の子供たちの世界を理解する)
(3)自閉症の子供をよく見つめる。(何が出来るか、出来ないかを見極めることは すべてのスタートだ)。
セミナーで繰り返し強調されたこと
すべては評価(子供をよく見つめる)からスタートする。専門家による評価もできるが、親が子供を見つめることで、充分な評価が可能である。
何が出来るのか、出来ないのか。特に重要なのは出来ること出来ないことの中間。完全ではないがある程度できる行動(芽生え)を見つけること。親が洋服を着せようとしたときに 子供は両手を広げた。ただし自分で洋服を着ることはできない。これは芽生えだ。もう一つは子供が何に興味を持っているかを見つけること。興味はすべての原動力である。
少し大きくなってきたら、場所や対象を変えて一人で出来ることを増やす。15,16歳で「スキルを教える」と「活動範囲広げる」は50:50くらいのイメージだと言う。
20歳になったら社会で自立して生活できるようにすることが目標。
子供が小さい時は 家庭や教室など 活動範囲を限定し、子供にスキルを教えることに重点を置く。小さい時は活動範囲か狭くても ひとりで出来ることを増やす。子供が大きくなるに従い、少しずつ活動範囲を広げる。
(日本にいる多くの自閉症の人たちの現実はこれとは逆ではないだろうか。小さいときはいろいろな所に引っ張りまわして、子供を混乱させ、大きくなったら居場所が限定されてしまう。)
(次のページは一日目の講義です。)